岩場や高度感のある場所が大の苦手な自分からすると、剱岳はずっと登りたかったけど登りたくなかった山。
もう20年近くそう思ってましたがそろそろチャレンジする気になり、でもまだ怖いので有名な別山尾根より難所が少ない早月尾根から登ってみることにしました。
さすが百名山のラスボスと言われているだけあり、
ルート・コースタイム
剱岳西側にある早月尾根・番場島(ばんばじま)からのピストンで、途中の早月小屋でテント泊しました。
さすが北アルプス三大急登の一つなだけあり、急登の連続で体力的にタフなコースでした。
ヤマレコの総距離がバグっており、正しくは以下になります。
【1日目】
7:14番場島駐車場 ⇒ 12:37早月小屋テント場《泊》
【2日目】
3:31早月小屋テント場 ⇒ 6:25剱岳山頂7:00 ⇒ 9:16早月小屋11:36 ⇒ 15:29番場島
総距離:約15.5km
標高差:約2,450m

コース状況
●番場島~早月小屋
登山口からいきなり急登。松尾平では緩やかになりますが、そこからまた急登。早月小屋手前辺りからハシゴやクサリが現れます。
●早月小屋~剱岳山頂
はじめは樹林帯の急登ですが途中から森林限界を超え急峻な岩場へ。一歩外したら終わり的な個所もけっこう出てきます。
特に2,600m道標から先はクサリ場の連続。槍の穂先や奥穂の穂高岳山荘目の前の壁のような垂直に近い上りは無いですが、中クラスのひんやりポイントがたくさんある印象。百名山の中ではダントツに緊張区間が長かったです。
岩稜帯のマーキングなど登山道はよく整備されており、高所恐怖症・岩場嫌いな自分でも見た目ほど恐怖を感じず歩けました。
駐車場

夜中の2時過ぎごろに番場島に到着しましたが、番場島荘前の駐車場は埋まっており、200~300m下った駐車場を利用しました。無料です。

番場島方向の道路から見るとこんな感じ。
もう少し下ったところにももう一つ駐車場あります。

こちらが番場島荘とその前の駐車場。

知りませんでしたが登山口前にもスペースがけっこうあり、けっこう駐車してる車がいました。

この辺のマップ。
トイレはキャンプ場(野営場)に2か所あります。
登山記
1日目

7時過ぎごろ駐車場を出発し、10分ぐらい歩き登山口へ。
見たかった石碑。
この言葉は下山後の方が沁みました。

色々石碑があるなーとか思ってたら、こちら手前の石碑の土台に

なんとミヤマクワガタが!
あたくしカブトムシ・クワガタが好きで、何度も息子とミヤマ探しをしてるんですがまだ捕まえたことがなく、こんなタイミングで初の野生のミヤマにご対面!

もう3年ぐらいカブトムシ・クワガタを飼育をしてるので、勝手にクワガタの神様がお見送りしに来てくれたんだと解釈しました。

なんかめちゃくちゃテンション上がったままこちらより出発!

のっけからゴリゴリの急登。
すぐに汗が噴き出ます。

両側に川が流れているので沢の音が心地よく、すごく気分がいいです。

松尾平という場所に出るとけっこう緩やかになり、つかの間のハイキング気分。
この辺から立山杉という杉の巨木がたくさん現れます。



屋久島クラスの巨木もあり、けっこう圧倒されました。

すごっ!


木の根の階段や


ロープか所はけっこう多数。

池塘がありました。

早月小屋手前になると、ハシゴや

クサリも出現。

そして出発から5時間ちょっとで早月小屋に到着。
ペース次第で初日に山頂アタックしちゃおうかなーとか考えてましたが、自分らのペースでは無理そうなのでアタックは2日目にしました。
結果初日・2日目共に午後はガスってしまったので正解でした。

思ってたより小屋はこじんまりしてるんすね。

中に入り、こちらの受付でテント場の受付を。
一人1,000円で予約不要!
北アルプスは2,000円がスタンダードになってきたのでとても良心的!
Tシャツ・手ぬぐいや右に冷えたジュースやお酒もあります。

料金はこちら。
早月尾根は水場が無く、水をゲットするにはこちらの早月小屋で購入する以外はありません。なので飲料は少し高め。
自分は3.5L担いできましたが、結局2L購入しました。(あとビール・チューハイ・コーラ)
食事の提供は無く、お菓子かカップラーメンのみとのこと。

空き缶は小屋の目の前のこちらにてハンマーで潰して捨てるシステムです。
水はペットボトル販売で、空きペットボトルは缶と同様に潰して受付前のバケツに入れる感じでした。

トイレは目の前にあり、洋式が3室ありました。

テントサイトはすぐ隣にあり、好天の土日なのにそこまで混んでなくて選べました。

ひとまず陣地を確保し、まったり。

キンキンに冷えたビールでおつかれさま。一番搾りとアサヒ、サッポロの3種から選べました。
とりあえずここのテント場最高!
- 小屋・トイレが近い
- 料金が1000円で安い
- 全体的にフラット
- ペグが刺さりやすい
- ロケーションも良い
- ドコモの電波はまあまあ快適でネット閲覧できるレベル(他はわからず)
情報だと5~10張りと記載されてましたが、実際は20張り以上はいけそうです。

ちなみに上から見るとこんな感じです。右上が番場島方面。下が山頂方面。
この日は15張りぐらいで、土曜なのに思ってたより多くなかったです。

お酒飲んでお昼寝して起きてメシ食べて18時ごろ就寝。
団体がけっこううるさかったけど、早めに寝てくれて助かりました。
2日目

翌朝は2時半起床、3時半出発。
暗闇の中ヘッデン付けて樹林帯の急登を登ること1時間ぐらいで、森林限界を超えてきました。

夜が明けてきて、左手の小窓尾根のギザギザシルエットが目立ちます。

逆側には大日連峰の滝雲。
見事な景観。

好天の予感♪

山頂が姿を現しました。
ゴッツゴツで武者震いします。。

この2,800m道標からは核心部で緊張区間が続きますが、ここまでもけっこう緊張ポイントはありました。

竜の背のような尾根を歩いていきます。

こんなんどこ登っていくんだよ!とつっこみたくなりましたが、実際歩いてみると安全なルートを確保してくれていて、整備してくれている人たちに感謝しながら登りました。
岩稜帯なので去年登った五竜岳や塩見岳の山頂直下に似てる感じがしました。

よく見るときちんとマーキングしてくれています。

なにげに自分が写ってます。

ロープ・クサリ場多数ですが、手掛かり足掛かりはたくさんあります。

マーキングもしっかりあり、間違えそうなところには×があり何度も助けてもらいました。

そしてこちらが有名なカニのハサミ。

新しめのクサリがあり、そこまで難易度は高く感じませんでした。

無事通過し振り返る。
見にくいですが、最後の一歩の

こちらの鉄杭の足場だけスリルありました。
正直、同じぐらいのひんやりポイントはたくさんあるので、カニのハサミだとわからず通過してしまう人も多いんだとか。

カニのハサミを過ぎてももうちょっとクサリ場あります。
3点支持をきちんと意識していれば難易度は高くないかと。

こちらが最後のクサリ場!

通過して少し歩くと別山尾根との合流地点へ。

そこから山頂へはビクトリーロード。
ちょうど御来光が覗き高揚感MAX!
登山人生で初めて自然と涙が出てきました。

そして出発から約3時間ほどで山頂到着!
この祠が見たかった…

この景色も見たかった…
もう何度もSNSやら雑誌やらなんやらでは見てきましたが、実際に見ると本当に感動。
しかもど快晴&無風で最高のコンディション!!

東側には白馬岳から後立山の名峰たちがズラーっと。その奥に雲海。
今までは向こうから何度もこっちを眺めて剱に惚れ惚れしてましたが、見返してやりました。

右の方には表銀座や常念山脈。奥に南アルプスも。
壮観ですわ。

そして南側にはこれまた北アルプスのオールスターズ!
立山の奥には槍ヶ岳、中央奥には笠ヶ岳や黒部五郎、右には薬師岳、手前に室堂と絶景すぎる眺め!!

特にこの北アルプス最深部の山々はいいですね~

室堂と地獄谷。
風向き次第だと思いますが、早月尾根ではたまに硫黄の匂いがしました。

今回怖くてパスした別山尾根。
なんか自信ついたので近年中にチャレンジしたくなりました。

平蔵の頭が怖そう…

いつかあの剱沢キャンプ場でテント泊したい。

意外と山頂は広く、けっこうまったりできました。
別山尾根からの登山者の方が圧倒的に多く、おしゃれな若いハイカーもたくさん。
みんな笑顔で、深田久弥氏の「百の頂に百の喜びあり」という言葉を思い出しました。
この後ぞろぞろ人が増えてきたので30分ぐらいで下山開始。

長大な下りのはじまり。

早月小屋と番場島が見えます。
ズームした写真だと近そうに感じますが、遥か先です。

早月尾根は下りが試練と言う人もいるので、気を引き締めて。

カニのハサミは行きも帰りも同じぐらいのスリルかと。

切れ落ちているところもあるので細心の注意を。

振り向くとでっかな岩峰と日差し。
嗚呼、崇高。

右にある大猫山・猫又山がめっちゃかっこよくて登りたくなりました。
だとは思いますが、剱岳の眺望が最高みたいです。

左には大日連山がドッシリ。
あちらもめちゃくちゃ登りたくなりました。

歩くことはないと思うけど、小窓尾根がゴッツゴツでTHE剱岳っぽい。

絵になる小さなピークだなー


お花もちょくちょく咲いてました。

緊張区間は終わりましたが、まだまだ気を抜けません。

高度感はありませんが、こんなポイントも。

徐々に早月小屋が近づいてきました。

霞んでますが、奥には富山湾。

山頂から2時間ちょっとで早月小屋に帰還。

600円のコーラをガブ飲み!

山頂を踏んだ達成感と安堵感もあり、撤収と昼飯休憩で2時間以上もかかっちゃいました。

山頂から見えたようにこちらからもちらっと山頂見えるんすね。
よし、ここから約4時間の下りだー

激下りー

それにしても、このコースは日帰りの人が多く、トレラン風の日帰りの猛者がたくさんいました。
色々な人と話しましたが、全体的に中部・関西の人たちが多くトレランは富山県民が多かったです。


卵をたくさん付けた毛虫にコガネムシはたくさん見かけました。

スタコラスタコラ下り、杉の巨木が現れ

沢の音が近づいてきて

ゴーーール!!

やったぜ!
ものすっっごい達成感!

一緒に登っている友人と離れてしまったので、下山するまで下のキャンプ場でまったり。
あんな炊事場が2棟あったので

こちらで行水を。手ぬぐいとTシャツを洗いました。
おそらく沢から引いてるので飲めないようです。

森のジオラマのようなベンチがありました。

しばしまったり。

途中おサルさん軍団がやってきて、クマも来るか心配になりました。

そして友人が日暮れごろに下山し、剱岳にさようならしました。
下山後の温泉

今回のご褒美は、関東方面へ帰る道には日帰り温泉が1軒しかなかったので、こちらの「みのわファミリーハウス」さんにしました。
入浴料は580円。
湯舟がそこまで広くなかったですが、熱めとぬるめの2種類あり、サウナもありました。

営業は終わってましたがレストランもあり、哀愁漂うノスタルジックな雰囲気に癒されました。




おしまい
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